だいぶ間が空きましたが、前回からの続きです。
サラリーマンの可処分所得が減るという展望の中、私がシェアリングビジネスの次に注目しているのは消費者金融業界
理由は以下
・可処分所得は下がるが、生活レベルは下げにくい
・生活レベルを維持するために、消費者金融の利用者が増える
という大きな流れがあるだろうと考えるからです。
ちなみに残高的には消費者金融専業会社の残高はあまり伸びず、銀行のカードローンに押されていますが、銀行カードローンの保証会社は消費者金融会社(オリコやアコムやアイフル)なので、銀行カードローンが伸びれば消費者金融会社の資産も伸びます。
銀行カードローンの金利はだいたい14%程度ですが、消費者金融会社は保証料として7〜8%程度を徴収しています。
銀行カードローンの貸倒率は2〜3%程度なので、粗利率は約5%ということになります。
ちなみにカードローン審査の事務コストはほぼ銀行持ち、広告宣伝コストは消費者金融会社と銀行が折半などで両社持ちという場合が多いようです
銀行カードローンは金融庁からイチャモンがつきましたが、国内の事業所数は減る方向&マイナス金利という逆風の中、銀行は貸出先がないのでこれからも個人向けカードローンに力を入れていくと考えられます。
可処分所得が減ったサラリーマンが金を借りるとすれば、給与振込口座として使っている銀行のカードローンに手を出すと考えられるので、消費者金融会社から借りようが銀行カードローンに手を出そうが、いずれにせよ消費者金融会社の資産は膨らむと考えられます。
資産が膨らめば、営業経費率は下がるため、アセットの増加&営業経費が相対的に下がる
という効果でROA、ROEが増加すると見込まれます
また業界特有の流れとして
・過払返還金の顕著な減少
・調達金利の低下
がプラス要因として挙げられるので、更にROA、ROEを押し上げる効果が見込まれます。
また、ネット銀行のニュースリリースなどを見ていると、これからは個人向けだけでなくスモールビジネス向けローンに力を入れていく方向に向かっていると思われます。
スモールビジネスローンの保証会社にも、オリコ、オリックス、アコム、アイフルなどの消費者金融会社などが名を連ねており、スモールビジネスローンの拡大が消費者金融会社の資産規模を拡大させる方向に進むと思われます。
スモールビジネスローンは今までは大した市場がありませんでしたが、
クラウド会計ソフトのfreeeがジャパンネット銀行と提携して行うビジネスローンを始めており、freeeのデータを用いて市場開拓できるようであれば、他の銀行もこぞってスモールビジネスローンに参入すると思われます。
ニュースリリースを見る限りジャパンネット銀行のビジネスローンには保証会社は無く、貸出金利は8%程度ですが、この商品がうまくいき、ニーズが拡大していくと、高リスク事業者向けに保証会社を入れての高金利ビジネスローン商品が出てくると思います。
freeeの会計データを使って機械的に審査が出来るようになり審査精度が上がればなかなか利益が出るビジネスになると思います。
良い面ばかりを書いてきましたが、消費者金融業界のリスクとしては
・貸倒率の増加
・調達金利の上昇
ですが、リスクに見合った金額さえ貸出していれば、営業利益がマイナスになるほどの貸倒率の急激な上昇は、よほどの景気後退が起こらない限り起こり得ない事、景気後退が発生しても、消費者金融やカードローンの主要顧客であるサラリーマンの賃金の下落は景気後退ほどドラスティックには起こらない事を鑑みればある程度大丈夫なのかなと考えてます。
調達金利についても同様です。
投資として考えると、上場している消費者金融やその関連会社の時価総額はある程度大きいので5倍や10倍になる事は狙いにくいのが難点です。
freeeが上場するなら狙いたいですが。