基本的にエビデンスベースで、学校現場における様々な「リスク」のある事象(問題点)について述べている本

論点として
・部活動
→過剰な活動による生徒&教師の疲弊。事故リスクについて

・1/2(にぶんのいち)成人式
→家庭の中に学校が厚かましい善意で介入してくると言う問題

・組体操
→事故リスクが「教育」の名の下にむしろ美化されるという病的構造

・柔道事故
→過去は悲惨だったが、現在は事故リスクの抑制に成功しているので、組体操などの問題も必ず解決できるはずだという希望ある提起



教育現場はIT化が遅れており、事例収集などに多大な労力がかかったと思われる。
そのような状況の中、丁寧に事例を集め、きちんとしたエビデンスを下に議論を進めている点は良かった。

また、教育現場の問題は教師や教育委員会を含む学校関係者、生徒が問題の起点として捉えられがちだが「保護者」や「市民」の側も大きな問題、例えば教育に安易に感動を求めて教師負担を増やしていたり(教育現場への感動ポルノの強制)、「教師は子供のために全力を尽くすべきだ」との善意からの発言で教師を追い詰めたりという問題を抱えている点を指摘していた。
この論点より、教師、生徒、保護者の三位一体が意識を変えないと教育現場は変わらないだろうなと感じた。