半分ちょいしか読んでいないが、かなり良い本だと思われる。
本の著者は「ロボットは東大に合格できるか」というプロジェクトに本格的に携わった数学の研究者。
研究者としての真摯な態度が本文中の文章に遺憾なく発揮され、そんじょそこらの人工知能関連書籍とは一線を画す内容になっていると思います。
買って損はなかったと思います。


以下、内容の紹介。

東大合格を目指すプロジェクトの中で気づいたこと並びに数学者としての知見を基にした著者の主張としては以下のとおり
AIへの過大評価やバスワード化が発生している現時点の状況に対する批判として、
・シンギュラリティは来ない(計算能力とかCPUパワーとかそういう問題ではなく、量子コンピュータでも無理)
・今世間で騒いでいるAIは「真の意味でのAI」ではない
・AIに搭載されてできることは限られていて、論理式の計算、確率や統計を基にした選択だけ
・AIで行っている自然言語処理は、AIが言葉の意味を理解しているわけではない(であるから、自然言語処理能力の劇的な進化はかなり難しい)

以上、AIの能力は限定的だという見方にも関わらず、現実的に持った危機感は以下
・以上の限定的な能力しか持っていないが、MARCHレベルなら合格可能。(大学受験者の上位20%程度の位置)
・問題文の意味が分かっていないAIが暗記と過去問データ等を基にした回答を行っているが、現実の受験者もそのように回答していることが案外多い(人間でも問題の意味が分かっていない奴らが予想以上に多い)
・意味が分からなくても案外正しい答えが出せるAIやロボットの活用範囲が広がるため、定型的業務を行うホワイトカラーの職は脅かされる可能性が高い。(意味が分からなくても遂行可能なホワイトカラー職種の危機)
→私見 現状でも経理処理を行っているおばはんとかは、会計の本質的な意味は分かっていなくても仕事は遂行できているはずです。そういう職種は代替されると思います。(というか、既にされている?)

・AIやロボットには複雑な単純作業(冷蔵庫をあけてジュースを取り出すとか)に従事する低賃金労働者と、AIに与える業務の設計、運用、AIに与えるデータ構造の設計等の知的作業を行う労働者で2極化するのではないか。

という内容です。

私自身はデータ構造の設計とか、出てきた分析結果の解釈とか、AIには多分難しい領域の仕事をこれから行うのであまり危機意識はありませんが、将来的には著者の書いたことに近いことが起こるだろうなぁと思いました。
今の会社で経営陣と話す機会もありましたが、経営陣はどんどんIT化を進めて人手を削減したいという方向で考えていることが分かりました。(実店舗無くしたいとかそういうレベルのことをすでに考えている)
確かに顧客獲得チャネルがWEB主流になっているので、その流れには逆らえないと思います。
私のやっている職種にもっと社内で光が当たって年収上がらないかなぁ、、、、
データ分析業務を
「パソコンでポチポチボタン押してれば数字が出てくる楽な仕事」ぐらいにしか思っていない人も多く、理解されるのは難しいと思っています。
データ分析結果を出す前の基礎知識として、線形代数、微分積分、DB構造の理解、実業務の背景理解とかいろんな事が求められるのですが(愚痴)