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アンチインデックスです。
今回は株式市場とは直接の関係は無いですが、経済状況を把握するのに役に立つ可能性がある指標の紹介です。

今回ご紹介するのは
「RDB企業デフォルト率」
です。

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RDB企業デフォルト率とは
調査対象である会員金融機関から毎月オンライン送信される債務者の信用情報をリスクデータバンク(RDB)にて集計した全国企業のデフォルト率
です。
RDBの会員金融機関はメガバンクや地銀、リース会社を含む65社ですので、かなりの債務者を把握しています。
前職で勤めていた金融機関もRDBの会員でしたので、RDBの会員サービスを受けていました。
その時の記憶によると、会員企業の債務者データは50万社を超えていたように思います。
かなりでかい債務者データベースです。

ちなみにデフォルトの定義は
過去12ヶ月以内に、3ヶ月以上延滞先、もしくは破綻懸念先以下の債務者区分に初めて該当した債務者をデフォルトとする
です。
破綻懸念先というのは、金融検査マニュアルに定義されておりますが大体は以下のものです。
現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)をいう

要するに借金を返せる見込みが低い先ですね。
破綻懸念先の認定は銀行の審査部門や金融庁検査できちんと査定するので結構正確です。
そういえば半沢直樹のドラマでも伊勢島ホテルを破綻懸念先にするかどうかで揉めてましたね。
余談ですが、債務者が破綻懸念先に認定されると、法律上(か金融検査マニュアル上)、貸倒引当金を積まなければならなかったはずです。(記憶はあいまい)

さて、全国50万社以上の会社から算出しているRDB企業デフォルト率ですが、その推移を見ると結構面白いです。
RDB企業デフォルト率はこのリンク から、エクセルファイルで公開されています。

まず驚くのは、直近1年の不動産業のデフォルト率(以下PDと略します Probability of Defaultの略)の低さです。
不動産業のPDは1.0%を切っています。これは前代未聞と言って良い水準です。
不動産業のPDは金利と深い関係にある事が知られています。
日銀の異次元金融緩和によって長期金利が低く抑えられており、その影響かと思われます。
しかし、さすがにPDが低すぎです。
長期金利が上がり始めると、間違いなく不動産市況は悪くなるので、ここから不動産業に投資(または融資)する気にはなりません。
また今の不動産業のPDは低すぎで、なんとなくバブルの雰囲気を感じます。

建設業のPDも歴史的に低いです。
自民党政権による公共事業の影響でしょうか。

とにかく不動産業と建設業のPDの低さから、現在の日本は信用供給とバラマキがジャブジャブなされていることが分かります。

ちなみにPDは景気遅行指数であるという分析結果もあり、PDが上昇し始めたらよほどの金融政策を取らない限り、
連鎖倒産なども発生するためPDの上昇は続くことになります。

いろいろ書き始めたら何を書きたいか分からなくなってきたので、以下箇条書きにします。

・PDは景気と深い関係がある
・PDは景気遅行指数であると言われている
・PDが上昇しはじめるとすでに危険信号。連鎖倒産が発生し始めている可能性がある
・全体のPDが2.0%を継続的に超えると景気後退局面である可能性が高い(地銀で勤めていた時の経験則)
・不動産業のPDと金利には深い関係がある(不動産業のB/Sを見れば分かりますね)
・不動産業のPDが1.0%を切っている現状は異常と言えなくもない。バブルの可能性あり
・各業種のPD推移を分析すると、「景気」と「金利」というファクターでPD動向をかなりの部分が説明できる
(本当かと思った人は業種別PDのデータを主成分分析にかけてみてください。私は面倒なのでしませんが)
・PDはプレイヤーが金融機関しか存在しない、閉じられた信用市場の情報であるので、資本市場である株式市場へはそのままだと利用できなり可能性が高い
・デフォルトの定義によってPDの値は変わってくるので、デフォルトの定義をきちんと確認することが大事

追伸
PDとTOPIXの関係などを分析すると面白い結果が得られるかもしれません。
ちなみにTOPIXなどの株価指数は景気先行指数であると言われています。