インデックス投資の教科書には
「長期投資すべき」
との言葉が書かれています。

根拠としては、
1:長期的には株式はプラスのリターンを生み出す。
2:長期投資によってリスクが低下する

1の前提については前回の「インデックス投資への疑問(予測不可能性について)」
「長期平均リターンがプラスになる」という前提に疑問を持っていることを書きました。

2の前提について書きたいと思います。
インデックス投資の教科書を見ると、「リスク」とは、期待収益率のぶれを指していると思われます。
要するに
「株式市場のリターンはある年はマイナス20%、ある年はプラス25%というように非常に変動が大きいが、
その長期平均(例えば30年)を取ると、だいたい一定の値に近づく」
というものです。

これはこれで一理あるのですが、問題は運用している個々人の投資環境を全く無視していることにあると考えます。

例えば長期投資として30年の投資を行うにしても、各人が投資を手じまいする時期の相場環境は大きく違います。

手じまいした時期がバブルの絶頂期であった場合と、リーマンショック直後が手じまいした時期であった場合とでは、リターンに大きな差が出ます。
むしろ投資期間が長期になることによって、リーマンショックやブラックマンデーのような壊滅的な相場下落に見舞われる危険は大きくなります。
また、投資資金を現金化しようと思った時期がたまたま相場低迷の最中であった場合は長期投資によるリスクを被ったと言えます。

これは「期待リターンのぶれ」という意味のリスクとは別物の「価格変動のぶれ」であるので、
2の根拠の直接の批判・反論にはならないかもしれませんが、
「長期投資でリスクが小さくなる」
との理論を盲信する戒めにはなると思います。

うがった見方をすると、長期投資とは
「顧客にずっと投資信託を保有してもらって、ずっと信託報酬を貢いでもらおう」
という証券会社の策略のような気がします。
証券会社による強引な投信の乗り換え勧誘などが問題になり、証券会社は手数料で儲けているという印象がありますが、
実際証券会社の手元に入る金額は、投信の売買手数料よりも信託報酬の方が大きいです。


追記
長期投資では「期待リターンのぶれ」という意味でのリスクは収束も低減もせず、
長期投資において期待リターンは直近の市場リターンに漸近すると言った方がいいかもしれません。
そして、直近の市場リターンはマイナス30%だったりプラス30%だったりといろいろです。


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